江戸の下半身事情
永井義男
祥伝社新書
K七です。
鬼平犯科帳の小説やドラマを観ると江戸時代の文化が垣間見れます。
同心・木村忠吾は兎饅頭ににているので兎忠(うさちゅう)と呼ばれ、
愛らしいキャラで女好きなのです。
そんな兎忠がキーマンになる回は多いです。
そこで今回は、彼のよく行く場所や時代背景について調べてみます。
永井義男
作家です。
東京外国語大学卒です。
時代小説を書いています。
現代人が考えるより性に対してだらしなかった
シーボルトが品川宿で目撃したのは、
位の高い御仁が白昼堂々と娼家に出入りする姿でした。
「まるでコーヒーでも飲みに行くかのように!」と
『江戸参府紀行』に記しました。
この本の目次
・江戸の性生活は楽ならず
日常としての性が身近だった事について書いています。
・性風俗こそ江戸の一大文化
遊びとしての性について書いています。
・「フーゾク都市江戸」をのぞく
江戸の風俗街はどうだったのかについて書いています。
この章が一番面白いです。
・江戸発、「性」の事件簿
古書から性に関わる物語を紹介しています。
江戸時代の性風俗の現実
江戸時代の風俗店はいたるところにありました。
そのほとんどは割床と言って、
相部屋が普通でした。
六畳の部屋に寝床を二組、
八畳の部屋に寝床を三組敷いて、
そこに遊女と客が寝ました。
江戸時代、
三世代同居は普通でしたし、
障子や襖で仕切られた家でしたから、
音に関するかぎり、
まったくプライバシーはたもてませんでした。
それだけ性に対するハードルは低かったのです。
品川の客ににんべんのあるとなし
という川柳があります。
にんべんがあるのは「侍」、
にんべんがないのは「寺」で
つまり武士と僧侶が品川の常連客でした。
武士は参勤交代で江戸に出てきた勤番武士、
僧侶は芝の増上寺とその支院に住む僧侶だったのではないか
としています。
参勤交代があったので、
江戸は男性が多かったわけです。
江戸時代の妊娠と避妊法の悲劇
江戸時代は現在のような効果的な安全な避妊法がありません。
これは決定的とも言える事情の違いです。
江戸時代後期になると、
月水早流、朔日丸などの堕胎薬が売られるようになりましたが、
これは水銀が用いられていたようで、
体調を崩したり、命を落とす例も少なくなかったに違いない
とあります。
吉原の遊女などは避妊と病気にならないよう、
詰め紙といって、
膣の奥に紙を丸めたものを押し込んだようです。
事後に必ず放尿し、
たらいに汲んだぬるま水で局部を洗いました。
当時は15歳、16歳が結婚適齢期で
その頃までには女性はたいてい性体験があった
としています。
婚前交渉があるのは当たり前で、
もし処女だったら婿は果報者だ、
とされたそうです。
遊郭、岡場所、夜鷹、宿場
江戸には公許の遊郭として吉原がありました。
200軒以上の妓楼がひしめき、
3000人~7000人の遊女がいたそうです。
そのほか江戸には、
岡場所という買春街があり、
夜鷹という不衛生な買春がありました。
岡場所は安永時代にはなんと江戸に50か所もありました。
また、街道筋には宿場があり、
それぞれの宿場には宿場女郎、飯盛女を置くことが認められました。
東海道の品川、甲州街道の内藤新宿、中山道の板橋、日光・奥州街道の千住
この江戸四宿が、江戸の男たちの遊興の場でした。
深川は有名な岡場所だけでも7か所あって
深川七場所と言われました。
富岡八幡宮、永代寺周辺は、
違法営業の大風俗街だったのです。
鬼平犯科帳に出てくる
谷中いろは茶屋、根津の岡場所は
実際に存在しました。
性病の蔓延と対処
ほぼ百パーセントの確率で性病に罹った
性病はもともと西インド諸島の風土病で、
コロンブス一行が1492年に到達し、
その後ヨーロッパにもたらし、
世界中に広まったとされています。
江戸時代、日本人のあいだに
梅毒や淋病などの性病が蔓延していたことを
シーボルトなどの医者が指摘しています。
当時は抗生物質がなかったため、
性病はほとんど完治することがありません。
漢方薬で痛みをやわらげるなど、
その場しのぎの対症療法をおこなうだけでした。
梅毒はしばらくすると潜伏期にはいって
表面上は症状がおさまるので、
当時の人々はいったん治るともう二度とかからないと考えたそうです。
実態は人身売買だという事実
遊女は身売りで、
事実上の人身売買でした。
多くの場合、
生活に困窮した親が幼い娘を妓楼に売りました。
その代金は三両~五両程度で
驚くほどの安い値段だったのです。
K七のまとめ
かなり衝撃的な内容の書です。
過去を美化しがちですが、
真実を知ることは大切な事でしょう。
日本でも性は開放的で、
かなりだらしのない文化だったのです。
面白すぎて話題が豊富すぎて書ききれませんでした。
ぜひ読んでみてください。
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